安心して使える法務英文表現
国際法務を扱うことがある人には重宝するものだと思います。 確かに、例文の数は多いとはいえませんが、それより何より「これは英文ではどのように表現すれば良いのであろう?」と思うことが少なくない法務関係の英文表現を簡単に参照できる点が非常に有益です。これまでの法律英語に関する本は「英文契約書の書き方」という類のものが多く、法務関係のレターやメモランダムではどのような表現が使用されるのかという点に焦点をあてたものはほとんど見られなかったと思います。本書はそのような契約書以外のメモランダム等において使用される表現を記載していることから、国際法務を扱うビジネスマンやあるいは若手渉外弁護士は手元においておけば役に立つと思います。何より長年国際ビジネスに携わったプロフェッショナルの弁護士が自らの経験上使用頻度の高いものをピックアップしたという点において信頼性が高いと思います。これまで、和英辞典を使用して英文法務文書を作成し、常に「この単語で本当に良いのだろうか?」という不安と戦っていましたが、今後はそのような不安が少なくなりそうです。
実務には役に立たない
企業法務の英語に関して、ABC順の辞典ではないが、用例に応じて単語や成句をまとめた用語集として編まれたそうだが、いざ英文を書く段になると、ほとんど参考にならない。 と言うのは、肝心の用例が皆無に近いからである。例えば、「元本・金利・遅延損害金等」の項目を見る。default interest(延滞利息)、delinquent charge(延滞金)、late payment charge(延滞払損害金)などの語句が並んでいるが、これだけでは「使用上の留意点や用法の差異が一覧的に理解できる」とは言いがたい。ましてや、遅延利息に関する条文を書くときの参考にはならない。 類書としては、例えば「英文契約書ドラフティングハンドブック」(ジャパンタイムズ)がある。こちらの方は例文が豊富であり、どういう語句がどういう文脈で使われるのかよくわかる仕組みになっている。それに比べ、本書は有益な解説が無くはないが、概して言えば、法務英語単語帳にすぎない。実務の場では、あまり使い物にはならないのである。
商事法務
ビジネス法務基本用語和英辞典 Legal Writing in Plain English: A Text With Exercises (Chicago Guides to Writing, Editing, and Publishing) 労働基準法解釈総覧 契約・法律用語英和辞典 株式会社法 第2版
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